2008年12月15日
 
コラム【待合室】は、
病院の待合室という特殊な空間に身を置いて「医療」を眺めています。
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 ★大麻にまみれた学生に天の警鐘が鳴っている
   
 前々回(10月掲載)は「天から授かった良薬」を取り上げたが、今回は腹立しくも「天に背いたクスリ」の話題である。

 10月30日の夕刊を開いてびっくりした。社会面が麻薬、大麻一色なのである。こんな紙面は珍しい。トップ記事が慶大生大麻事件で、その隣に、 麻薬取締り部が隠し撮りした鮮烈な写真つきでイラン人の密売が高級住宅街の路上で堂々とされている。この二つの大きなニュースの下に、 韓国・仁川 国際空港で覚せい剤2キロ所持の日本人男女が逮捕され、山梨では面白半分、大麻を吸っていた高校生が書類送検されたことが報じられていた。

 次の日、新聞は慶大が記者会見で頭を下げているニュースの下には、神奈川・平塚市で一戸建てを借りて大麻を栽培していた男2人が逮捕されていた。 “順調”にいけば末端価格で2億2千万円になるという記事。

 写真が掲載された日、イラン人密売グループのリーダー格ら5人が逮捕されたが、彼らの一人がこう言ったという。「こんなにクスリを買う人がいて日本は 大丈夫かと心配になってくる」。おもわず失笑してしまったが、すぐに苦々しくなり腹が立ってきた。真実をついているからだ。息つく暇もなく、 11月9日 の新聞は東京・世田谷の歯科医が現行犯で逮捕された。「大麻クリニック」とあった。患者も「誘われて吸った」という。吸引具などもみつかった。

 そして慶大生大麻事件。10月上旬に逮捕された容疑者は横浜・港北区の日吉キャンパスの食堂近くで、乾燥大麻数グラムを7000円で譲り渡した疑いがある。 この学生、「同じ大学の何人かと一緒に吸ったことがある」「興味半分だった」と供述。自宅の家宅捜索では乾燥大麻や吸引具などを押収したという。 神奈川 県警は他の学生にも広まっている可能性があるとみて調べている。

 大学生の大麻事件は後を絶たない。慶大事件の次ぎは同志社大学で女子学生が汚染されているのが明るみに出た。起訴された女子学生は大麻を関西学院大の 知人に勧められ、逮捕されるまでの2年間、この知人や同志社大の友人らと250回吸引していたことを認めた。このほか、10月初めには法大の学生5人が所持容疑で 逮捕されており、さらに1月にさかのぼれば、関東学院大ラグビー部員が大麻栽培で有罪判決を受けている。

 次から次の大学生大麻汚染に、有識者たちも唖然、呆然。こんなコメントまで飛び出した。「今の大学生と昔の大学生を同じ扱いにしてはダメだ。今の大学生は 中学生や高校生並に扱って教育しないと、齟齬(そご=食い違い)をきたす」というもの。同感。

 慶大常任理事が三田キャンパスで記者会見したが、それこそ中学生や高校生並の学生の「自主性を尊重するのが建学の精神だった…」「学生を信じたが…」 ではダメなのだ。今や建学の精神は地に落ちてしまった現実を直視すべきであろう。大麻所持で罪に問われた慶大経済学部・中村被告への判決文に「大学の権威と 信頼に打撃を与えた」とあった。これは学生だけではない。大学が謝罪会見をひらいた次の日に今度はなんと米国人の英語教師が現行犯で逮捕された。教員側 にも汚染が拡大した格好だ。折りしも慶応義塾創立150年の年である。塾創立者の福沢諭吉もさぞ無念であろう。天は塾に麻薬汚染の環境を造った覚えなど 毛頭ないはずである。

 ―― と、ここまで書いたら、こんどは早大生だ。8月18日に商学部の男子学生が逮捕されていたことが明るみに出た。もう、際限がない。とうとう新聞も 「タイマない汚染の広がり」などと“おやじギャグ”を飛ばす始末。もう、このへんでやめておく。

 
 
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